砂の城 5
もう、あいつが苦しむ姿は見たくない。
しかし、俺にはどうする事も出来ない。
――――お前の願いを叶えてやりたい――――
すまない・・・。
キラ。
暖かい日差しの中、
「あのさ・・・。僕、手術を受けようかと思うんだ・・・」
いつもの様に見舞いに来ていた俺達に、笑顔でそう言ったキラ。
その笑顔が、
「キラ・・・本気で?」
「うん。確率は低いけど、手術して原因がわかるなら・・・」
強い意志を表しているから、
「お前がそう言うならば」
「・・・わかってくれたんだ。有難う、イザーク」
どんなに低い確率だろうと助かる確率があるのなら・・・と、俺とアスランはあいつの背中を押した。
――――助かると、信じている。キラ・・・。
――――扉が・・・閉まる――――
キラを見送った後は、
「――――キラ・・・」
まるで時が止まってしまった様で、
「・・・・・・」
手術室の前で待っている時間が、とても長くて。
「イザーク、あと・・・何時間?」
「あれから二十分しか経っていない。つまり二時間四十分は残っている」
何度も時間を確かめては、
「そうか・・・」
「・・・ああ」
溜め息を吐くしかなかった。
――――この扉が開くのは、まだ先――――
それを、時間(とき)は嘲笑うかの如く、ゆっくりと流れて。
「アスラン。どうやら終わったみたいだぞ」
気が付けば、ここ数日の寝不足も手伝って眠ってしまっていたが、
「そう・・・みたいだね・・・」
ランプの消えた気配で目が醒め、扉が開く前にアスランを起こす。
そして、
「キラは・・・無事なんだろうな」
「医師(せんせい)、どうなんですか?」
出て来た医師に様子を、キラの容態を問いた。
END.
とうとう、明日で終わりです。
11日は、これの番外編をUPします。
その番外編はカプものにしようかと思ってるんですが、
イザキラとアスキラ、どちらがいいですか?
好きな方を選んで下さい。
希望ナシの場合は、イザキラになります;
スミマセンー。
王子贔屓です。だって、王子愛だから。
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