砂の城

 

 もしも、彼に出逢わなければ、生きたいと思わなかったのでしょうか。

 もしも、幼馴染でも友達でもなければ、迷わずに死ねたでしょうか。

 誰か・・・教えて下さい。

 

――――砂の城は脆く儚くて――――

 

 僕はまだ、死にたくない・・・。

 

 

いつだったか忘れたけど、

「キラ、これ以上は車輪(くるまわ)が進まない。だから・・・」

二人が僕を海に連れて行ってくれた事があったよね?

あれ・・・凄く嬉しかったんだ。

 

――――いつも無機質な白い天井ばかり見てたから。

 

それで、車椅子じゃ砂浜まで行けないからって、

「イザーク!? あっ・・・あの、重くない?」

「お前は俺をバカにしているのか?」

イザークが横抱きにして、砂浜にまで連れて行ってくれたよね。

アスランは、僕が疲れない様に小まめに面倒みてくれて・・・。

本当、とても嬉しくて幸せで、涙が出そうだった。

 

――――最後の外出になったけど。

 

そんな・・・自由だった頃に戻りたいな・・・。

 

――――永遠に無理だと知ってるくせに。

 

二人は、僕は楽しかったあの日に、戻れると思う?

「キラ! しっかりして!!」

「死ぬなよ、キラ・・・」

今にも死にそうなのに。

また、大好きな海に行けると思う?

「キラ・・・っ!」

「・・・キラ」

美しい海で見た夕焼けを、

「アス・・・ラン・・・。イザー・・・ク・・・」

この瞳に刻めると思う?

 

 ――――どうして、現実を見ない?

 

もし願いが叶うなら、もう一度だけ見たいんだ。

「・・・綺麗だね」

三人で見た、美しい海の美しい夕焼けを。

 

END. 

 

連載開始です。

一週間で、終わらす事が出来るか不明ですが、

頑張りますので、宜しければ貰って下さい。

 

※7月5日〜7月11日までの、連載短編小説です。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送