死の庭で、君を待つ
白や紅の花が咲く死の庭で。
僕は、君を待っています。
ずっと、ずっと。
君を待ち続けています・・・。
けれど、どうか・・・。
死に急ぐ事はしないで下さい。
好きだから・・・。
死に逝く事なんて・・・やめて下さい。
――――死の庭で、君を待つ――――
白い花も紅い花も好きだったから、
「・・・今日も・・・綺麗に咲いているね・・・」
二色の花に囲まれて残りの人生を過ごすのに、文句はなかった。
寧ろ、感謝したいぐらいで。
「――――ラクス。素敵な屋敷を有難う・・・」
花を抱き締めながら、決して届く事のないお礼を紡いで。
「僕は・・・幸せだよ・・・」
そして、
「・・・風が冷たいから、部屋へ戻ろうね・・・」
抱き締めた花を胸に抱え、彼がくれた鳥ロボット・・・トリィを連れて部屋へ入る。
すると、死の庭に咲く花々が、
「やっぱり綺麗・・・」
そっと揺れた。
――――残り・・・十四日・・・。
* * *
小さなコロニーの小さな町。
その中にある、白や紅の花々が咲き誇る屋敷。
そこにあいつ――――キラがいて。
俺は笑う彼の前、声も掛けられずに立っていた。
――――死の庭で、君が待つ――――
死の庭に彼がいると云う噂はチラホラ聞いていた。
しかし、何処かで否定して。
まさか・・・と、信じていなかったけれど。
『残り十三日ですわ、アスラン・・・』
『はぁ? 何が、ですか・・・?』
『死の庭の期限・・・』
キラの残り時間ですわ・・・と言われ、
『なっ・・・、ラクスはキラの居場所を知って・・・!』
初めて信じようと、コロニーへ行こうと決意して。
――――キラ・・・。
あいつが住んでいると云う屋敷に足を踏み入れてみると、
「トリィ・・・。どうしたの・・・? トリィ・・・!」
白や紅の花弁(はなびら)がハラハラと散って。
不意に主が姿を現す。
それは、紛れもなく・・・、
「・・・キラ・・・」
「――――アス・・・ラン・・・?」
幼馴染で・・・。
END.
連載開始です。
これは、7月発行予定の本の一部。
これの他にも『最後の晩餐』と云う小説をUPし、
本にするつもりだったりします。
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