体温
一騎が好きで。
何としてでも、想いを伝えたくて。
「一騎・・・」
踏み込んだ彼の部屋。
そのベッドの上、一騎はいた。
――――無防備な格好で・・・寝るな。
布団も被らず、普段着ている服のまま。
何かを考えているかの様に。
彼は、眠っていて。
「一騎・・・」
たった一言――――起こさない程度の声音で名前を口にする。
――――答えて欲しいけれど・・・。
折角夢の中にいると云うのに、引き擦り戻すなんて出来なくて。
だが、
「んっ・・・総・・・士・・・」
ゆっくりと持ち上がった瞼。
紡がれた、自分の名前。
彼は、目を醒まして。
無意識に、だろうか、返事は求めていないと云う風に、僕を求める。
そんな些細な事が嬉しくて。
「何、一騎」
声を掛けると、
「――――っ・・・。総、士・・・?」
震えた唇が、存在を確認するかの様に僕を呼ぶ。
しかし、触れて来ない――――その距離がもどかしくて、
「だから・・・何?」
一騎・・・と、
「震えてるよ・・・?」
自ら、距離をゼロにした。
――――抵抗も拒絶もない。
そして、抵抗しないのをいい事に、
「一騎・・・」
「そう・・・んっ・・・」
唇を奪った。
それは・・・始まり。
僕はもう、戻れない。
――――一騎を、独占したいんだ・・・――――
END.
続き。
総士さんからの視点で、書いてみました。
如何ですか? と云うか。
総士さんも一騎を独占したかったと言うね・・・。
結局は、ラブラブなんですよ(にこ)。
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