ソウシ

 

 アルヴィス内で、小さな仔猫を飼う様になってから、約一ヶ月。

 相変わらず、一騎はソレに構ったままで。

 システムで繋がっている間も、ずっと心配しているから、

「一騎・・・」

「ん? どうかした?」

 神経が二・三本、切れる音が頭の中に響いた――――気がした。

 

 ――――許可するんじゃなかった。

 

 朝の穏やかな時間。

 そこに広がる、彼の泣き出しそうな声。

「だから、システム起動時ぐらいは、猫の事は忘れろ・・・と言っているんだ」

 それは、

「皆城くん、言い過ぎじゃないの?」

 周りの同情を引いて。

「遠見(きみ)には関係ない事だ」

 口を挟むな。

 余計、僕を苛々させるけれど。

「総士は・・・そんなにコイツの事が嫌いなのか・・・っ」

 涙目でそう言われて。

「・・・っ、一騎・・・」

「ソウシが可哀想だろう」

 一瞬、ドキリとしてしまう。

 が、しかし。

「えっ・・・? その猫、皆城くんと同じ名前なの?」

 不意に聞こえて来た遠見の言葉に、

 

 ――――周りの奴らが、邪魔だな・・・。

 

 友人の存在を思い出して。

「一騎、ちょっと」

「なっ・・・何だよ・・・っ」

 腕を引っ張り、部屋から出ると、

――――っ・・・、え・・・?」

 そっと耳元で囁いた。

 

――――僕の事も、構ってくれないか?――――

 

END.

 

猫に嫉妬する総士さん、その2。

リクエストして下さった碧海さんに捧げます。

ネタを有難うございました。

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