空の向こう

〜Soshi Side〜

 

 必ず、彼は帰って来る。

 一騎が島を見捨てるはずが・・・僕の元から離れて生きて行ける訳がない。

 そう・・・わかっていたから、

「島を出て行く者に興味はありませんよ」

 ワザと強がって、マークエルフを見送った。

 

――――一騎は・・・戻って来るから・・・――――

 

 けれど、心の中では気が気ではなくて。

(どうしてなんだ・・・っ、一騎・・・!)

 渡された資料を見ながらも、その内容が頭に入る訳がなく。

 自室に戻ると、

「くそ・・・っ! 一騎・・・お前はソレでいいのかっ!」

 手に持っていた紙(しりょう)をぶちまけて。

「何故、外の世界を知ろうとするっ。僕の傍にいれば・・・君は・・・っ」

 彼の体温の残るシーツに倒れ込んで。

 

 ――――一騎・・・。

 

 瞳を閉じる。

 そして、

「・・・っ、一騎・・・」

 左目に走った疵痕をなぞって。

(お前を幸せに出来るのは、誰でもなく・・・)

 躰の中を駆ける熱に。

 一騎を欲しがる神経(さいぼう)に。

 そっと息を吐き出した。

 でも、治まる事はなく。

「一騎・・・」

 何度も名前を紡ぎ。

 まだ温もりの感じるそれに沈んで。

 今に戻って来るだろう恋人(しんゆう)を、ただ・・・苦しい心中で待つ事しか出来ずに。

 空の向こうに消えた彼を、想い描いた。

 

END.

 

結局、10話補完話書きました。

意思弱いな・・・。

まぁ、こんな感じを希望。

次は一騎Side?

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