シルバーリング
上手く行く事が少なくなった最近。
逢えば喧嘩ばかりで。
終わらせたくないけど、そろそろ潮時かな・・・なんて。
ほんのちょっと弱気になってみたり。
一応考えてしまう度に頭を振るけれど。
こうも擦れ違いばかりじゃ、それも仕方ない事なのかな。
――――シルバーリング――――
「・・・39度7分」
ピピッと鳴った体温計を見ながら表示されたものを読み上げる。勿論目は半眼で声は低音・・・不機嫌ですと言った態度で。
凄くダルそうで鬱陶しそうな君に暫しのお説教。風邪を引いている身にはかなり辛いだろう仕打ち。でも止めて上げない。
「・・・ったく、何で体調を崩してるのわかっていて仕事行く訳?」
こんな時でなきゃ話なんて出来ないし、何より彼を独占出来ない。だからついついツンデレとか言うツンツンした部分で言葉を発してしまう。本当はもっと素直になりたいし、甘えたいと思うんだけど。
意地っ張りな所が許してくれず、
「あー、煩いよ、お前」
説教しに来たなら帰れって、最後は結局そんなオチで。此処数ヶ月逢ってもこんな調子でしかなくて。
「――――っ、何だよ、折角心配して来たのに。帰ればいいんだろうっ」
「誰も来てくれなんて言ってない」
本気でとっとと帰ってなんて言葉に泣きそうになりつつ、携帯をポケットに入れて立ち上げる。彼は背を向けたままだ。
その事に更に泣きそうになるのを堪え、靴を履いて外に出る。そしてマンションの階段を迷惑行為と知りながらも、涙を誤魔化すかの様に大きく音を立てて下り切る。
「おい、キラ」
そこにふと響いたアスランの声。誘われる如く上を向くと窓から顔を出していて。
「忘れもの」
ひょいっと小さな箱が投げられる。
「わっ・・・」
それをギリギリでキャッチして再度見上げると不敵に笑った君が、次逢う時は付けて来いとか言っていて。
不思議に思いながら箱を開けると、中にはシルバーリングが一つ。
「・・・っ」
たったそれだけに弱気になっていた心が元気になり。
「――――ばか・・・」
ありがとう、アスラン。
胸の内で幾度もお礼を言って。やっぱり彼が好きなんだって自覚した。
END.
所詮ちっぽけな人間の考える世界観。
・・・って事で、第2弾。
ちょっと変わったアスキラ風で失礼しました〜。
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