連環
音も光もなく。
あるのは、奇妙な安心感だけで。
「一騎」
「・・・総士・・・?」
優しく触れてくれる総士の掌が、唯一だった。
――――連環――――
小さく。
本当に・・・小さく聞こえる、波の音。
それは、何も見えない俺の心に響いて。
眠りを誘うけれど、
「風邪・・・引くよ・・・」
不意に躰を抱き上げられて、
「・・・っ、総・・・っ」
驚きで目を醒ます。
でも、何かが見えるはずもなく。
「大丈夫。力抜いて。落としたりしないから」
ぎゅっ・・・と力を込められた事で、彼が何を言ったのかを感じ取って頷く。
すると、
「一騎・・・」
額に触れた、総士の唇。
その感覚に胸が熱くなって。
頬を伝い落ちたものは、
――――コレで・・・俺は幸せになれた・・・?
「泣かないで」
「・・・っ」
今まで堪えて来た想いを形にした涙で。
何故だろう。
この時初めて、音と光が恋しくなった。
――――違う。幸せじゃない。
だって、総士の声が聞こえない。
姿が見えない。
俺だけに向けられる総てが、感じ取れない。
だから、幸せじゃない。
そう今更思っても、後の祭りで。
音も光も、戻らない。
END.
『彼』・『Noise』・『空白の蒼』・『光ある場所』の続き。
何か、コレ・・・終わらなさそうです。
もう辞めても良いかな・・・とも思ってますが、どうなんだろう。
あ、皆城さんのセリフ、一騎くんには聞こえてません。
なので、総てカン(愛)で感じ取っています。
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