無音

 

 少しずつ・・・少しずつ、耳が聞こえなくなって行く。

 目も見えなくなって行く。

 どんどん、俺は総士の“荷物”になって行く。

 けれど、彼は何も言わない。

 何か言ったとしても、

『一騎が、傍にいてくれるだけでいいんだ・・・』

 俺を慰める様な言葉だけで。

 決して「邪魔だ」とは言わない。

 

 ――――それが、悲しかった・・・。

 

 きっと「邪魔だ」と言われていれば、その時は傷付いても、

 総士の傍を離れる事が出来た。

 この想いに終止符を打つ事が出来た。

 なのに、どうして・・・。

「総士・・・?」

 お前はいつも、逆の事をして来るんだよ。

 何でそんな泣きそうな声で、サラリとそんな事うんだよ。

「傍にいて、一騎・・・」

 もっと、冷たく。

 立ち直れない程に傷付けて欲しいのに。

 

 ――――何故・・・。

 

 お前がくれるものは、こんなにも温かいものばかりなんだ?

 

 

END.

 

『彼』・『Noise』・『空白の蒼』・『光ある場所』の

続きじゃないけど、上の4つを噛んでいる感じのお話にしてみた。

一時、web拍手にて公開していたものです。

この時、メッセ下さった方、有難うございましたー。

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