言葉に出来ない

 

 答えられない想いを見せられた時。

 況して、その相手に襲われた時なんか、

「正気なのか!」

 どう対処したらいいんだろう・・・。

 

 ――――何でいきなり・・・っ!

 

 力で敵わない事は十分にわかっていた。

 ルナマリアは見掛けと違って、力が強く、レイなら兎も角も、俺じゃ歯が立たないのは普段の――――訓練のメニューからして一目瞭然だった。

 だから、抵抗したって無駄だって理解していたけど、

「正気に決まってるでしょ」

 嘘や冗談でこんな事、されたい訳?

 抗わずになんていられなくて。

(どうして・・・! 仲間に・・・っ!)

 不様かもしれないがジタバタともがく。

 しかし、

「えっ・・・?」

――――っ、一度でいいの・・・シン・・・」

 私のものになって。

 頬に冷たさを感じて。

 驚きの先に見たものは、

「・・・ルナ・・・?」

 彼女の涙で。

 初めて見るそれに、

「シン・・・」

 俺は、言葉を失う。

 

TO BE NEXT.

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