香水

 

 不意に香った、甘い匂い。

 その香りは、

「・・・総士?」

 幼馴染の服からで。

 俺は眉根を寄せて、彼を見ると、

「香水でも付けているのか・・・?」

 静かに問い詰める。

 けれど、

「気の所為だろ」

 軽くあしらわれて。

――――

 更に――――不機嫌になる。

 

 ――――なんで、隠すんだよ。

 

 でも、それ以上何も言えずに。

「もう・・・いいよ・・・」

「一騎?」

 小さくぼやくと、

「総士なんか、知らね!」

「一騎!」

 総士の声を無視して、そこから離れた。

 

 ――――全部話して欲しいのに。

 

 そして、外に出て。

「何だよ。総士のバカ」

 波の打ち寄せる浜辺に、座り込み。

 

 ――――もう、本当に知らないんだ。

 

 そっと瞳を閉じる。

 そうしてしまうと、波の音だけが響いて。

 俺は眠りに就いてしまった。

「こんな所で寝るなんて・・・。一騎・・・」

「んっ・・・」

 傍に、総士の温もりを感じながら。

 

END.

 

嫉妬する一騎くん。

タイトルに深い意味はありません。

で、結局総士さんも一騎くんを放っておけないと云う・・・。

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