彼
晴れ渡った空の下に立つ彼は、何処までも気高く。
いつも落ち着いていて。
自慢の幼馴染だった。
そんな彼・・・皆城総士は、絶対に人の中心にいて。
毎日、女子に騒がれていた。
――――皆城クンハ“王子様”ダヨ――――
しかも“王子様”なんて。
その言葉を聞く度に、
(総士が“王子様”って・・・)
ただ胸が苦しくなって。
「・・・騎・・・」
俯くしかなくなってしまい、
「・・・一騎・・・」
いつからだろう。
「一騎!」
「・・・っ! 総・・・士・・・?」
ほんの少しの音を残して、誰の声も聞こえなくなっていた。
――――煩い、煩い、煩い、煩い――――
けれど、
「一騎、大丈夫? 何度も呼んだんだけど」
「・・・っ、ゴメン。ボケッとしてて・・・」
総士がそれに気付く事はなく。
安堵の息を吐きながら、
「・・・それで・・・用事は・・・?」
「ああ・・・、今日のシミュレーションの事なんだが・・・」
必死に彼の口の動きを読み取る。
でも、
『結婚するなら、皆城くんみたいな人よね』
不意に流れ込んで来た、一番聞きたくなかった言葉に気を取られて。
「一騎・・・」
もしかして・・・聞こえてないの?
総士から目を逸らした瞬間、悟られて。
――――バレ・・・た・・・?
俺は・・・どんな顔をしていたのだろう・・・。
END.
続きます。
出来たら裏にしたかったんですが。
無理でした。
すみません・・・。
・・・裏有りの方が良いですか?
ああ、要らないですか(にこ)。
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