sister
誰にも渡さない。
渡したくない。
私だけを見て欲しいの。
だから、あなたを眠らせて・・・。
街路樹も雨に濡れた、午前零時。
苛立ちが消せないから、麻酔掛けて。
罪の意識とか、そんなものは最初からなかった。
在ったのは、彼を私のものにしたいと云う想いだけで。
キラがいなくなって困る人達がいようがいまいが、関係なかった。
あなただけをずっと、この地下室に閉じ込めて。
繋いだ鎖、だけど、手錠だけは外して上げる。
この耳に届くのは、
「・・・っ、フレイ・・・っ、何考えて・・・っ」
心地の好いオクターブの声のみで。
『フレイ、キラがいなくなったの!』
あなた、何か知らない!?
『――――ごめんなさい。知らないわ・・・』
他の人の言葉なんて、雑音(ノイズ)でしかなかった。
だって、私に必要なのは、
「教えて欲しい・・・?」
可哀想なキラ。
愛としいキラ。
彼、ただ一人なんだから。
* * *
朝が来ても「愛してる」と繰り返して。
餓えたベッドで夜毎、あなたに似た子を宿すまで。
こんな事になるなんて、欠片も思っていなかった。
僕は彼女の言葉を信じて付いて来ただけで。
まさか薬を呑まされ、捕らわれるなんて。
全く夢にも思っていなかった。
けれど、
「フレイ・・・っ、君は何を考えて・・・っ」
叫んで、繋がれたベッドから見上げた先に見た瞳は、本気の色をしていて。
抱き締めて、強く。
キスをして感じたい。
真っ赤な雫を搾るまで壊して。
今から舌を噛むから優しくして。
あなたの背中を見たくない、ただそれだけ。
そして囁かれた言葉(ゆめ)に、何も言えなくなり。
気付いた時には、
「キラ・・・愛してるわ・・・」
フレイに囚われて、
『キラ、一緒に暮らさない』
(・・・アスラン・・・)
僕が欲しいと啼く彼女に抵抗も出来ずに。
アナタニ似タ子ヲ宿スマデ・・・。
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