光ある場所

 

 時計の・・・秒針の音が鳴り響く、二人切りの教室。

 伏せたまま、顔を上げない一騎。

 何も言わずに、彼を見詰める自分。

 まるで、時が止まってしまった様な感覚に、小さく溜め息を吐く。

 瞬間、

――――っ」

 ビクリと揺れた、細い肩。

「・・・怒ってる・・・よな・・・?」

 震えながらも言葉を口にした彼。

 僕は、答えなかった。

 

 ――――光ある場所。

 

 それから、どれぐらいの時間が経ったのだろうか。

 机に懐いてしまった、一騎の髪を梳きながら、

「どうして・・・僕に言ってくれないんだ?」

 君の苦しみを少しでも知りたいのに・・・。

 キツく握られた指を解き、そっと口付けをする。

 けれど、目を醒ます事はなく。

「僕では・・・頼りにならない?」

 耳元、首筋、項に唇を滑らして行きながら、紅い痕を残す。

 すると、それが擽ったかったのか、

「んっ・・・誰・・・?」

 ふい・・・と目醒めた彼。

 その瞳に光はなく。

――――っ・・・、一騎・・・」

 優しく、瞼にもキスをする。

 と、眇まった茶色の双眸。

 全てが愛しくて。

 だけど、

「総・・・士・・・?」

 哀しくて。

 暗闇の中にいる一騎には、今・・・何が見えているのだろうか。

 それすら、システムでしか繋がる事しか出来ない僕には・・・わからない。

 

END.

 

『彼』・『Noise』・『空白の蒼』の続き。

如何ですかぁ?

リクエストして下さった方々、どもでしたー。

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