波紋
突然逃げ出したトリィを追い掛けて砂漠に出て来た僕は、
「トリィ。どうしてお前がここにいる? まさかキラがこの近くにいるのか?」
そこで、大切な友達に再会するなんて、
「アスラン・・・」
思ってもみなかったから、
「キラ!?」
とても嬉しかったのを覚えている。
アークエンジェルに戻ると、
「何処へ行っていたの・・・」
ずっと起きていたらしいフレイに、声を掛けられた。
僕は、心配そうに話し掛けて来る彼女に気付かれない様に、前を閉じながら、
「トリィを探しに行っていたんだ」
にこりと笑って答える。
その日から、僕とアスランの密会が始まる・・・。
会う時間数は短かったけど、それでも良かった。
何故なら、
「――――・・・」
ただ傍にいられるだけで、言葉もなく傍にいられるだけで良かったから。
だから、長い時間なんて必要なかったんだ。
「ザフトの人間と毎夜会っているって、本当なの? キラ」
――――フレイにバレるまでは・・・――――
出て行こうとした僕の動きを止めさせる力がある言葉に、
「答えて、キラ!」
前ほど上手く笑う事も、答える事も出来なかった。
『キラ。俺達は同じ場所にいながら、全く同じ場所に立つ事は出来ない。悲しい事だけどこれを壊す気のない俺達は、周りにバレない様にしないといけない訳だから・・・』
僕を問い詰めるフレイの声と、
『一度でも疑われた場合は』
アスランの声が頭の中を、
『会わない様にしないとね』
掻き回す・・・。
「キラ!」
混乱する頭をそのままに、フレイの呼び止める声も無視して、アークエンジェルを飛び出した。
――――もうきっと、あそこには戻れない・・・。
脳裏を掠める泣きそうだった彼女の表情を胸に、
「アスラン・・・」
僕はただ、大切な彼(ひと)が待つ場所へ向かった。
END.
古い話に少し訂正入れてみました。
やっぱりアスランの一人称は「俺」ですって!
でも、ハマった当時は「俺」より「僕」の方が
書きやすかったのを憶えています。
兎に角、古過ぎて目が痛いですって。
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