冤罪
彼の肩越しに見える、天に浮かぶ大きな丸い月。
背中に感じる優しい芝と温かい手。
最初から裏切る事なんて出来なかった。
傍にいて欲しいと思うのも、触れたい、守りたいと思うのも一人だけで。
それをわかっていながら僕は・・・。
――――僕達は、今、罪を犯している。
冤罪。
初めは決別の言葉を言うはずだった。
幾度となく彼の手を振り払い、ナチュラルの友達を選ぶと言って傷付けたから。
これ以上抉らない様に。
僕を憎んでくれる様に。
さよならを言うつもりだった。
なのに、
『キラ・・・』
そっと――――大好きな名前で――――名前を呼んでくれた彼は、またも裏切ろうとしている僕の躰を優しく抱き締めて。
『好きなんだ』
言葉では言い表せないくらい。
『愛しているんだ』
例え俺の手を取ってくれなくとも。
お前が何処かで笑っていてくれるなら。
それだけで幸せなんだ。
・・・けれど、もし笑えないのなら。
まだ許されるのなら・・・。
『俺に全て委ねて』
そう切実な想いを投げて来たんだ。
(逆らえるはず、ないよ・・・)
そしてそれに抵抗をしなかった僕は、
「君が好きだよ」
このままあの頃に戻りたいくらい。
何も知らなかった、君と過ごせた時間(とき)を切に思う程。
「・・・抱いて・・・」
アスランを感じたいよ。
「――――キラ・・・」
溢れる涙もそのままに、強く瞳を瞑った。
神様、こんな罪深い僕を赦してくれますか?
END.
種の28話「キラ」だっけ?
あの辺りのその後な感じを装って。
またもしてもCountから離れてしまって
・・・しょっく。
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