Calling you
告白された時も、付き合い始めた時も。
“その他大勢”でしかなくて。
何となくで、三年も続いた関係。
一緒にいたから気付かなかった想い。
「・・・キラ」
失って知った気持ちは・・・虚無感。
――――Calling you――――
無機質に鳴る通話の終わりを告げる音。
耳に残るのは震えていなかったあいつの、別れを紡ぐ声で。
『バイバイ』と言われてもそれが信じられず、別れようと言う言葉も、愛してるの台詞(ことば)や気を引く為のものだと思っていた。何処かで『さよなら』なんて来るはずがないと安心していた。
けれど、何かを決意したキラのそれは恐過ぎる程に落ち着いていて。
(俺、本気で捨てられたのか・・・?)
今までありがとう、バイバイなんて無縁な話だと鼻で笑っていたのに。突然荒波に身一つで放り出された気分だった。
そして初めて自覚した彼への想い。
いつの間にか――――わからないくらいに大切になっていた存在。
ずっと認めようとしていなかっただけで。
考えれば考える程、心は苦しくなって。
「違う・・・。“その他大勢”なんかじゃなかった」
キラ、俺はお前の事が・・・。
零れた言葉は届くはずもなく。
幾度掛けても繋がらない電話(きょり)。
あいつの住んでいる場所も、何も知らなくて。
もどかしいとか切ないとか。
自分の中にこんな感情があった事すら気付いていなかったけれど。
もしこの距離がゼロになったのなら。
今度こそキラに伝えたい。
――――お前は俺の“唯一”だから。
強く、強く。
ただあの姿が見たくて。
携帯と鍵だけを持って部屋を飛び出した。
ぽつり・・・ぽつりと降り始めた雨が、まるで代わりに泣いている様で。
冷たくて、早く小さな体を抱き締めてやりたかった。
Next?
終 わ ら な い 。
ダメだ、力不足過ぎる・・・。
一言あれば次こそ終わらせたい。
何もなかったら此処で終わらせます。
あああ、私は所詮ちっぽけな人間です。弱虫!!
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